RaNxxx’s blog

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インタラクションデザインについて理解しなければいけないことまとめ

本ブログは、「インタラクションデザインの教科書」をベースに整理し、自分の考えを加えたものとなります。
自分の考えも入っているため、全部が正しいわけとは限りませんが、参考として読んで頂ければと思います。

 

 

インタラクションデザインの歴史と背景

1990年、IDEO社の社長のビル・モグリッジは、自分たちが従来のデザイン(プロダクトデザインやコミュニケーションデザインなど)とかなり異なるタイプのデザインを開発をしてきたことに気づきました。
このデザインは、製品を通じてそれを使う人々をつなぐことに関係し、モグリッジがこ新しい分野を「インタラクションデザイン」と呼びました。

 

この背景としては、1990年代半ばに、商用インターネットが広がり、以前使用されていなかったマイクロプロセッサが、自動車・洗濯機・電話などに内蔵されるようになり、人々の生活環境のデジカル化が進んでいきました。
その中で、テレビの操作や電話のかけ方などを一から勉強する必要が生じ、日常的な物が、しばらくの間にうまく使えなくなってしまいました。
この時代の背景によって、人とマシンのやり取りを簡単にさせることが必要となり、インタラクションデザインという分野が生まれたのであろうと、「インタラクションデザインの教科書」を読んで思いました。

 

今や、インタラクションデザインは、世界中の何万の人々も実践する分野となりました。その一方、「インタラクション」という言葉は、多く使われている反面、実は明確的に定義されていないと主張する人もいます。
※参考:「インタラクション」とは何か? vol.1|MASA / Artrigger CXO|note

 

インタラクションデザインとは

 インタラクションデザインは、「製品やサービスを介して人と人がインタラクション(対話)することを手助けするための技術」と、「インタラクションデザインの教科書」が定義しています。
範囲を限定して、もう少し具体的にいうと、「なんらかの「認知力」を持つ製品とは、人間に対してなんらかの判断を行い、反応を返すことができるマイクロプロセッサを伴う製品のこと」であると。
また、これは、科学というより、家具製造業のような応用美術の一種とも言えます。なぜなら、この分野には、科学的な研究法による証明や鉄則などがまだ存在していなく、状況に依存する本質があるからです。

 

例えば、10年前のウェブページの先進のデザインは、当時の状況ではよかったが、今となっては古く、使えにくくなっているケースが分かりやすいでしょう。

 

更にいうと、インタラクションデザインは、必ずしもコンピューター画面を必要とするわけではありません。
デジタルでも、アナログでも、有形(PDA)でも無形(ワークフロー)でも、また、これらの組み合わせでもあり得ます。
また、特定の技術や手段に依存するものでもありません。
インタラクションデザインは、特定の技術にとらわれることなく、目前の作業にふさわしい技術のみを考えるべきです。 そして、インタラクションデザインは、問題を解決するだけでなく、人間同士のインタラクションを、もっと豊かに、もっと深く、もっと優れたものにしていくことです。

インタラクションデザインを体系的に捉えるときの構図

「インタラクションデザイン」という分野を広く「人間工学」と呼ばれることが多いです。
人間工学の中でも、ユーザーエクスペリエンスデザインや工業デザインやヒューマンコンピュータインタラクションなど多くの領域と重なっている分野です。

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インタラクションの体系的な構図

 

ここで、特に面白いのは、インタラクションデザインがほかの領域との違いです。
「インタラクションデザインの教科書」の中で、ほかの領域に対して以下のように述べています:

  • ユーザーエクスペリエンスデザインとは、ユーザーと製品やサービスとの出会いを、ビジュアルデザイン・インタラクションデザイン・音声デザインなどの側面からみて、調和を図る分野である
  • 情報アーキテクチャとは、ユーザーのほしい情報が見つかるようなコンテンツの構造とラベルづけのやり方など、コンテンツ構造に関するものである
  • コミュニケーションデザインとは、コンテンツを伝えるために、視覚的な言語を作ることである
  • 工業デザインとは、形に関するもので、使用目的と機能に合わせて、物の形を決めること
  • ヒューマンファクターとは、物が人間の身体的・心理的な制約に従うようにする分野
  • ヒューマンコンピューターインタラクションは、インタラクションデザインと関連性が高く、もっと定量的な方法論に基づいている。しかし、この分野の焦点はOSなど、人間がいかにコンピューターと関係しているかにあって、人間同士の関係性について研究分野であるインタラクションデザインと違う
  • ユーザーインターフェース工学は、インタラクションデザインとヒューマンコンピューターインタラクション両者の下位にあるもので、デジタルカメラの画面などのデジタル機器の制御に焦点が置かれている。その一方、インタラクションデザインは、インタフェースがインタラクションデザインにどのように影響するかという点に関心が高く、ブランドや純粋な美的要素をそれほど気にしない違いがある
  • ユーザービリティ工学とは、製品をユーザーにとって、確実に分かりやすいものにするためのテスティングに関する分野である

 

インタラクションデザインのツールや方法論

プロジェクトに関与する前に、ビジネスが課題に直面したり、問題点が発見されたりすることが多いです。
これらの課題の中で、単純なものもあれば、もっと多いのは、「たちの悪い問題」です。「たちの悪い問題」は、以下の特徴が挙げられます:

  • 問題自体が完全に理解されていない
  • 境界線がはっきりしていない
  • ステークホルダーがそれぞれ言いたいことがある
  • 制約事項が多い
  • はっきりとした解決策がない

これらの課題こそが、インタラクションデザインを携わる人が、プロジェクトに関与するきっかけであります。

 

インタラクションをデザインする前に、以下のこを理解する必要があります:

  1. ビジネスゴール:評価指標も併せて確認する必要がある
  2. 制約事項:ビジネス面・技術面・時間面などの制約が考えられる

 

4つのアプローチ

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インタラクションデザインの4つのアプローチ

 

ユーザー中心デザイン

ユーザー中心デザインの哲学は、「ユーザーは何でもしっている」ということにつきます。
具体的にいうと、製品やサービスのユーザーは、何が必要で、何がゴールで、何を優先したいかを知っているので、それを探り出してそのためにデザインするのがデザイナーの仕事です。

 

このアプローチを取った時に、プロジェクト全般にわたってデザインを判断する決定要因はユーザーのデータです。

 

アクティビティ中心デザイン

焦点はユーザーのアクティビティに当てます。
アクティビティとは、目的のために行われる行為や判断のかたまりであると定義されます。「タスク」のようなイメージが近しいです。

 

アクティビティ中心デザインの危険性は、タスクに執着するあまり、課題となっていること全体の解決策を探さなくなってしまうことにあります。

 

システムデザイン

システムデザインは、分析的な方法でデザイン課題にアプローチするもので、デザインの解決策を作るために、規定のコンポーネントを組み合わせて使うアプローチです。
また、システムとは、コンピューターに限らず、人・装置・機械・ものであるケースもあります。

 

このアプローチは、複雑な課題に対処するのに最適であり、デザインを全体的に考えるアプローチです。
システムデザインでは、ユーザーのゴールやニーズを軽視せず、それを使ってシステムのゴールを決める一方、ユーザーの「状況」ほどに重視しない面もあります。

 

才能に基づくデザイン

こちらは、属人性のあるアプローチで、デザイナーが自ら持つ理解や経験でデザインを行うアプローチです。

 

インタラクションデザインの基本

■要素
主に「動き・空間・時間・外観・感触・音」などの要素があります

 

■法則

  • アームの法則:時間が経つと、機械はもっと速く・小さく・強力になる
  • フィッツの法則:視点から最終目標点へ移動するのにかかる時間が、目標までの距離と、目標の大きさという2つの要因によって決まるもの
  • ヒックの法則:ユーザーが物事を決める時間が、選択肢の数によるものである。しかし、「ドロップダウンメニューのように選択肢を階層に分けて与えるよりも、一度にたくさんの選択肢を与えたほうがよいものがある」と異議の論点もある
  • テスラーの複雑性保存の法則:プロセスには、それ以上単純化できない「臨界点」があり、それ以降は、本来揃わっている複雑性を移動できるだけ。例:メールを送る時に、長いメールアドレスを自動的に補完する機能
  • ポカヨケの原則:不注意による間違いを避けることで、失敗しないことを保証する。そして、未然に防ぐことが不可能な場合は、プロセス中のなるべく早い時期に問題を阻止できるようにする
  • 直接操作と間接操作
  • フィードバックとフィードフォワード:ユーザーがある行動を行った時に、それにフィードバックを返す必要がある。また、フィードフォワードは、起こるはずのことを、行為の「前に」知ることである。これがあると、ユーザーが自身を持って行為を実行できる

 

■優れたインタラクションの特徴

  • 信頼性
  • 妥当性
  • 賢明さ:ユーザーが間違ったり必要以上のことをしたりせずに済まなくてはいけない
  • 敏速さ:0.1秒以内は即時;0.1~1秒かかれば、ユーザーは遅れを感じ、滞りとなる;1秒以上あれば、ユーザーはタスクが中断されたと感じる;10秒以上の遅れがあると,タスクが完全に断絶されたと考える
  • 巧妙さ:ユーザーの要求を予測し、この欲求を予想外に気持ちよく叶えてくれる
  • 遊び
  • 心地よさ:機能性と美しさ